ブロックチェーン=仮想通貨、ではない
国内外のブロックチェーン市場は急拡大する
ブロックチェーンがなぜ最近こんなに騒がれているかということですが、まずは上の図を見てください。
IT専門調査会社であるIDC Japanによると
世界のブロックチェーン関連支出額は、2018年の15億ドルから2022年には117億ドルへと順調に成長する
といいます。国内で見ても、2018年の49億円から2022年に545億円へと急速に拡大すると言われます。また、経済産業省によると、ブロックチェーンの潜在市場規模は67兆円にものぼる、といいます。
いったいなぜ、ブロックチェーン市場はここまで急拡大するといわれているのでしょうか?
ブロックチェーン、市場規模67兆円
ブロックチェーンによって、非中央集権型の社会が実現する
集中型の記録管理と分散型の記録管理
近年、一部の専門家の間で、「ブロックチェーンによって、非中央集権型の社会が実現する」といわれるようになりました。 ブロックチェーンを活用すると、非中央集権型のサービスが提供可能になるというのです。
非中央集権型のサービスとは、管理者・運営者がいないサービスのことです。 多くの人にとって身近な、カーシェアリングを例にとって考えてみます。
ブロックチェーンによって実現する未来
現在のカーシェアリングサービスでは、タイムズ24がタイムズカープラス、DeNAがAnycaを運営しています。 タイムズカープラスの場合は車もタイムズ24が所有しており、Anycaの場合は車は個人が所有していますが、サービスの管理と運営はDeNAが行なっています。
ブロックチェーンを活用することによって、サービスの管理と運営をする主体がいなくても、個人間でカーシェアをすることができるようになるといわれています。 ブロックチェーン上の情報が事実であると信頼できるため、サービスの管理者が不在でも安全に取引・契約を行うことが可能になるのです。ブロックチェーン上の情報が事実であると信頼できるため、サービスの管理者が不在でも安全に取引・契約を行うことが可能になるのです。
サイクルシェアリング、ライドシェアリング、採用や恋愛などに関するマッチングサービスなども管理者が不在で実現するというのです。
さらには国家が管理していた、お金や個人情報などに関するサービスも管理者不在で運営できるようになるといわれます。 Bitcoinなどの暗号通貨は、管理者が不在で運営されている通貨です。企業組織についてはすでに、管理者、すなわち経営者が不在で運営されている事例があります。
ブロックチェーンによって実現された、経営者不在の組織をDAO(Decentralized Autonomous Organization)と呼びます。以上のように、ブロックチェーンによって、管理者がいなくてもサービスが管理・運営される社会が非中央集権型の社会です。
では、ブロックチェーンのどのような仕組みによって非中央集権型のサービスが提供可能になるのでしょうか?
ブロックチェーンとは
そもそもブロックチェーンとはどのようなものなのでしょうか?
ブロックチェーンとは特殊な記録帳
ブロックチェーンとは、一言でいうと記録帳です。
ブロックチェーンには、商品・通貨などの取引情報や個人情報を記録します。
ブロックチェーンという名前の由来
ブロックチェーンでは、記録した情報の束を一つのブロックとしてまとめて処理します。 情報の束であるブロックがいくつも連結してチェーンのようにつながっているから、ブロックチェーンという名前になったのだといいます。
では、記録帳であるブロックチェーン上には、誰が情報を書き込むのでしょうか?
ブロックチェーンは誰もが情報を書き込める記録帳
商品・通貨などの取引情報を記録するのは、システムの運営者や銀行などの一部の人たちが行ってきました。ブロックチェーン上には、簡単なアカウントだけ発行すれば、誰もが記録をすることができます。
とはいえ、誰もがブロックチェーン 上に情報を書き込めるのであれば、誤った情報が記録されてしまわないのでしょうか?
ブロックチェーン 上の情報は、みんなに監視されている
記録帳であるブロックチェーンに書き込まれる情報について、正しいものであるかどうか、常にみんなが見張っています。 書き込まれた情報が正しいものであると承認された場合のみ、記録されるという仕組みです。記録帳の一ページ、つまりブロックチェーンの一つのブロックごとに情報の承認作業が行われます。
一度書き込まれた情報についても、あとで書き換えられないかどうかチェックされ続けます。 このためブロックチェーン 上に記録された情報は、永久に改ざんされることがありません。
ここまでの内容をまとめると、ブロックチェーンとは「誰もが書き込め、みんなで監視し、改ざんができない記録帳」であるということができます。話を戻して、ブロックチェーンのカーシェアリングサービスへの応用の仕組みを考えてみます。
ブロックチェーンの仕組み 〜初心者のためのわかりやすい解説〜
ブロックチェーンのカーシェアリングサービスへの応用
個人間で自動車の取引が行われた時、第三者に取引の内容がチェックされ『xx月xx日にAさんからBさんに対して車が貸し出された。』という記録がブロックチェーン上に残されます。
取引記録が確実に残されるため、仲介する企業が取引の事実確認をする必要がなくなります。また、ブロックチェーン上の情報は第三者から監視されているため、不正な取引も防止されることになります。さらには、ブロックチェーン上に記録された情報は書き換えられないため、取引履歴の改ざんもできません。
よって、企業などが貸し手と借り手を仲介する必要がなくなります。
非中央集権型のサービスをもたらすブロックチェーンは、今後社会に大きなインパクトを与えることが予測されます。 私たちは、ブロックチェーンについて学び、できれば実際にプログラムを触りながら、活用していくことが重要なのではないでしょうか。