IDC Japanの調査結果では、2017年時点の国内パブリッククラウドサービス市場規模は5016億円。これが5年後の2022年に、2.8倍の1兆4065億円になると予測されています。
パブリッククラウドサービスは、大きく分けてSaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)があります。
SaaSは、サービスが限定されるかわりに分かりやすい形態を指します。GmailやDropboxといったサービスがこれにあたります。
PaaSは、アプリケーションソフトが稼動するためのハードウェアやOSなどのプラットフォーム一式を、インターネット上のサービスとして提供する形態を指します。Google App Engine やMicrosoft Azureがこれにあたります。
IaaSは、OSやメモリなどのリソースを自由に設定可能な形態です。Google Compute Engine や Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) が代表的なサービスです。
これまで日本国内では、SaaSが先行して普及してきましたが、2017年は、IaaSの市場が大きく成長したそうです。
この背景には、極力システム変更をせずに環境を移行する「Lift & Shift」方式の活性化が関係しているといいます。この方式を採用することで、今までオンプレミスで稼働させてきたエンタープライズアプリケーションをIaaSへ移行する際の開発コストなどのハードルが下がったと言えます。
「APIエコノミー」などへの注目の高まりにより今後PaaS市場の大きな発展へ
そして今後PaaSが大きく発展していくと、IDC Japanは言及しています。その理由として以下の点を挙げています。
開発手法の変化
- 開発チームと運用チームが互いに協調し合いサービスの価値を迅速かつ確実に高める「DevOps」
- ほとんどプログラミングすることなくシステム開発が可能になる「ローコード/ノーコード」
技術・概念への期待
- これまでコンピューターが認識不可能だった画像・音声・表情・空気感などを学習を通じて認識できるようになる「コグニティブ/AIシステム」
- IoTを実現するための様々なソフト・ハード・制御機器を集積した基盤である「IoTプラットフォーム」
- APIを通じて自社のリソースを公開することで自社のみで開発するより大きな価値を生み出す「APIエコノミー」
これらに対応したPaaSへの注目の高まりが後押しとなり、PaaS市場が大きな発展を遂げ、これからの国内パブリッククラウドサービス市場の成長を牽引する要因になると予測されています。
国内におけるパブリッククラウド市場は、PaaSの発展が今後の成長要因。2022年には昨年の3倍近い1兆4065億円に。IDC Japan - Publickey