自動運転技術の実用化が進み、この分野での国をまたいだ提携が活発化しています。
システムを介して自動運転を行うには、カーブや勾配などといった3次元の地図情報や、車両・歩行者などの動的情報を組み込んだ、高精度3次元地図データが必要になります。
これを1社で開発するには、非常に莫大な開発費用が必要なため、日本ではこのデータ開発を行うために「ダイナミックマップ基盤会社」が2016年に設立され、官民ファンドの他大手自動車メーカーや電機機器メーカー等が出資を行っています。
この中でも特に「ゼンリン」は、Googleなどの大手に日本の地図を提供していることもあり、この分野で期待を寄せられています。
1日約1000人の調査スタッフが1軒ずつ現地調査を行っているゼンリンの地図データは他と比べて圧倒的な精度を誇るだけでなく、自動運転の実用化に際し、全方位カメラや各種センサー等を搭載した独自の計測車両により、高精度空間データベースを整備しています。
他社と差別化できるコンテンツとして、さらに、この道路がどう繋がっているか、右折車線なのか、一方通行かなどの情報をネットワークで収集することにより、目的地までの所要時間を割り出す事もできるようになります。
また、ゼンリンが評価を上げたもうひとつの要因が、米エヌビディア社との提携です。
エヌビディアのGPU(画像処理用半導体)は、AIと相性のよさから、トヨタ、テスラ、アウディといった大手自動車メーカーと提携を結んでいますが、その注目企業が膨大な地図関連のビッグデータを持つゼンリンとの共同研究開始を発表したことにより、大きな話題となっています。
AIが強さを発揮するのは適切なビッグデータを食わせること。そうした意味では、ゼンリンがもつ膨大な地図関連のビッグデータを素早く処理できるエヌビディアとの組み合わせは絶妙だった。
ゼンリンとしては、「取得した画像から効率的に地図データに変換することで整備工程の効率化を図ることが目的」と共同研究の狙いも明確だ。