この記事は、書籍「勝ち組企業が取り組むAPIファースト APIエコノミー(APIbank代表:佐々木隆仁著)」の「第一章 APIの必要性を知る 1-2 ビジネスパーソンにとってのAPI」の要約記事です。
「第一章 APIの必要性を知る」では、APIを公開したり利用したりすることがビジネスにどんな影響があるのか、どういう考え方 で取り組めばよいのか、について説明しています。
「自社の事業を成長させるための、APIの活用法」について、既存のビジネスに則った視点で、APIやAPIエコノミーを見ていくことができる。
例えば「事業を拡大させたい」と考えた時、他社と繋がる際自社の機能やサービスをAPIという形で切り出せば、今まで以上に効率的に企業とのコラボレーションが可能になる。
このように効率的に他社企業と繋がっていく動きに対応できない企業は生き残っていけない可能性が高い。
ビジネスのコミュニケーションは近い将来チャットに移り変わる
では、今やっている事業をどうやってAPIで切り出していけばいいのか。
例えば、米Slack社は提供するチャットツールの「Slack(スラック)」 がチャット機能をAPIで提供している点で高く評価されている。SlackのチャットがAPIによって広く利用されるようになり、そこに大きな経済圏が生まれている。
このような動きの中、「ビジネス向けのチャットを使って、自社の機能やサービスをどう連携させていくべきか」という視点を持つことが、今後は非常に重要となってくる。個人のコミュニケーションだけでなく、ビジネスにおいても、チャットでコミュニケーションをとるという流れは無視できないだろう。
APIを組み合わせることでさまざまな業務を効率化できる
このようにビジネスのコミュニケーション手段がチャットに変わっていくと、人はチャットでつながるだけでは物足りなくなる。
コンピュータがチャットで自動的に人間とやり取りをする「チャットボット」のなかには、最近ブームの「人工知能(AI)」を組み合わせたものも登場している。
同様のサービスをやろうと考えたとき、AI機能を手軽に用意したいのであれば、「他社の優れたAIサービスを活用した方が圧倒的に効率的だ」と判断するのは、ある意味当然といえる。
AIの活用はやや特殊なケースかもしれないが、経費の精算などであれば、もし、チャットに出張の行き先などを 入力するだけでチケットの予約や交通費の精算などが済んでいたら、担当者の仕事はどこまで効率化できるだろうか。
このように、多くの業務は今後APIを組み合わせていくことでどんどん効率化されていくだろう。この動きが進むと、誰もが「〇〇も効率化できないだろうか」と思うようになる。
誰でも簡単にAPIを利用できるような環境が整備されれば、プログラマーでなくてもちょっとした思い付きで仕事を効率化できるようになるかもしれない。
では、そんな未来像をどうやったら実現できるのか。まず必要となるのは、さまざまな企業が提供している多種多彩なAPIを手間なく呼び出せ、効率よく利用できるような環境だ。プログラマーでなくても利用できるような仕組みを段階的に組み込んでいき、最終的には誰でも自由に仕事を効率化できるような環境を生み出すことが、 目指すべき目標の一つといえるだろう。
APIを理解しておくと有利なのはマーケティングや企画の担当者
マーケティングや企画の担当者がAPIを理解していれば、新規ビジネスの立ち上げには非常に有利となるだろう。
ビジネスの創造というのは「一つ以上の“アイデア”の新しい組み合わせ」だ。このアイデアの部分をAPIに置き換えれば、APIの組み合わせで新規事業ができ上がる。
ただし、最終的に求められるのは「新しい組み合わせを思い付けるかどうか」であり、そういった意味では、APIだからといって深く考えず、いつも通りの感覚も大事にしてほしい。